日本と北欧の文化の違いはどこにあるのか
地理的には日本と北欧は地球の裏側と言ってもよいほど完全にかけ離れた場所にある国々です。
歴史的にもそれぞれの国と積極的な関わりを持ってきたということもないのですが、それにもかかわらず北欧文化と日本の文化には似通った点が多いということはたびたび指摘されてきました。
文化的に近いとされてきた例としては、木材を使った建築様式があります。
ヨーロッパや欧米地域においては建材として一般的に使用されてきたのは石材であり、木材を組み合わせて家や家具を作るという文化は一般的ではありませんでした。
江戸時代までの日本において木材を使った建築や家具作りの文化は世界的に見て非常にレベルが高く、単に材質同士を組み合わせるのではなく木材の特長や木目の流れを見ながら組み合わせて使っていくという職人技が用いられていました。
北欧においてはその文化は現在にも引き継がれており、家庭で使用しているチェストなどが100年以上も前から使われているということも珍しくありません。
また木材で作られた住宅の中にあまりたくさんのモノをおかずに、どちらかというとガランとした雰囲気の家で自然に囲まれながら暮らすというスタイルが、日本の「侘び寂び」の文化に通じるものがあるということも言われてきたことです。
しかしながら現在の日本においてはそうした伝統文化は失われ、大量生産と大量消費の価値観で生活をしています。
現在日本において北欧文化に対しての評価が高まってきているのは、かつては似た思想で生活スタイルを築いてきた北欧の国を見て、あの頃の価値観を取り戻したいという意識の現れなのかもしれません。
個人を尊重した選択の幅の広さが北欧流
いわゆる「北欧」と言われる国は、スカンジナビア半島にある「デンマーク」「ノルウェー」「スゥエーデン」「フィンランド」の四カ国です。
これらはいずれも非常に教育のレベルが高く、福祉が充実している国としてもよく知られています。
これらの国に共通しているのが、非常に個人の人生に対しての選択の幅が広く、それぞれが自身の人生の幸せを追求するということを尊重しているということです。
日本においては「滅私奉公」が美徳とされているように、個人の幸せよりも組織や所属する団体の幸せを目的とすることが当たり前になっています。
ですが北欧においては個々人の幸せなしに国は成り立たないという共通した意識があるので、会社員でも長いバケーションをとることができたり、男女問わす残業をせずすぐに家に帰ることが推奨されています。
バケーションでも贅沢をして過ごすのではなく、のんびり自然に囲まれた森の中の家で家族と一緒に過ごすといったスタイルが定着しています。