壁のないワンルームが都心部で増加中
一人暮らし用物件として入居者が募集されている物件としては、「1R」もしくは「1K」という間取りが一般的です。
ちなみに「1R(ワンルーム)」物件というのは玄関を開けたらすぐに居室となるタイプの間取りのことで、「1K」は玄関を開くとそこに通路とキッチンがあり、扉や襖を開くと居室があるという間取りです。
都心部など居住面積に十分な余裕がないエリアでは、余計な通路のないワンルーム型の間取りが非常に人気があり、実際学生や単身者など一人暮らしをしている人の大半がワンルーム型の物件に入っています。
しかし都内23区で物件を探そうとすると、どんなに古いところで探しても家賃の額は相当に高く、フリーターや非正規雇用として勤務をする人にとっては大きな負担になってしまいます。
またそもそも「人よりいい家に住みたい」「広くて余裕のある住居に住みたい」というような住宅に対しての贅沢志向が今時の若い人たちには乏しく、ビジネスホテルのような寝るだけの場所で十分という価値観が広がってきています。
そこで新しいタイプの間取りとして登場してきたのが全く仕切りのないというまさに「完全ワンルーム」という物件です。
これは本来ならばどんなに狭いワンルームでも必ず設置されていたバス、トイレ、ランドリーエリアといった場所の仕切りを完全に取り払ったというものです。
最初は扉を開けてすぐにトイレやシャワーがあるということにビックリしますが、仕切りがない分部屋の広さが確保されており、4畳半物件ということで感じる狭苦しさが軽減されます。
物を持たないという生活がブームに
長引く不景気ということが影響してか、物心ついたときには両親が経済的な苦労を口にしていたという若い世代は非常にお金にシビアです。
むしろ何か欲しいもののために努力をしたり人よりもよいものを持って自慢しようとしたりするという欲に乏しい人が増加しており、生活に必要なスペースと最低限の持ち物があればそれで十分と考えられるようになっています。
とはいえいくら狭い物件であっても、土地価格が高騰していた頃にはとても若手社員の給与で都内の一等地に住むことは考えられませんでした。
それが土地価格が下落するとともに、通勤通学に時間とお金をかけたくないという都心回帰の動きが強まったことにより、多少狭くても都心で生活ができるという物件の人気が上昇してきました。
新しいタイプのワンルーム物件は広さこそ通常のワンルームよりも狭めですが、トイレやシャワーなどといった生活に必要な一つずつの設備はかなりしっかりしており、一人で暮らすには十分すぎるくらいに使いやすい最新式のものになっていることが特長です。